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特定技能外国人

2025.2.17

特定技能外国人の問題点とは?受け入れ時の課題・リスク・対応策を解説

労働人口減少に伴い、「労働力」の確保として特定技能外国人を利用する企業が多くなっています。

しかし、特定技能外国人を利用する際にさまざまな問題点やデメリットがあるのも事実です。今回は、特定技能外国人を受け入れる際のメリット・デメリットや、問題点などを詳しくご紹介していきます。

特定技能外国人とは?

特定技能外国人とは、日本の人手不足を補うために特定の産業分野で働くことを認められた外国人労働者ことで、2019年に新設された「特定技能」在留資格に基づき、日本国内で就労が可能となる制度です。特定技能には「特定技能1号」と「特定技能2号」の2種類があり、特定技能1号は、一定の技能と日本語能力を持ち、14の産業分野で働くことができます。

一方、特定技能2号は、より高度な技能が必要な在留資格で、現在は建設業と造船・舶用工業の2分野のみが対象となります。

特定技能外国人を受け入れるメリットやデメリットについて

特定技能外国人の受け入れには、メリットだけではなくデメリットもあります。それぞれメリット・デメリットについて詳しく確認していきましょう。

特定技能外国人を受け入れるメリット

特定技能外国人を採用すると、人手不足の解消やコスト削減など、企業にとって多くのメリットがあります。まずメリットを確認していきましょう。

人材確保できる

一番のメリットは労働力を確保できること、つまり人材確保ができることです。特定技能外国人は単に人手が増えるだけではなく、仕事に必要な技能や日本語の試験をクリアしているため、即戦力になりやすい人材です。

日本人に比べて日本語はまだまだ勉強する必要はありますが、即戦力としての人材確保ができることは何よりもメリットとなるでしょう。

人件費の抑制

特定技能外国人を採用することで、企業の人件費の負担を抑えられる可能性があります。

特定技能外国人の給与は、日本人と同等以上に設定する必要がありますが、派遣社員を活用するよりもコストが抑えられるケースもあります。人材不足で採用コストが高騰している企業にとっては、有効な選択肢となるでしょう。

比較的即戦力になりやすい

特定技能外国人とよく比較されるのが「技能実習生」ですが、技能実習生と比べて特定技能外国人は実際の業務に必要なスキルや日本語スキルを持った状態で業務に就くため、研修期間を短縮しやすく、現場での対応もスムーズになりやすいです。即戦力として活躍してくれることが魅力の一つでしょう。

特定技能外国人を受け入れるデメリット

特定技能外国人の採用には企業側のデメリットもあります。デメリットを確認していきましょう。

定着してもらうための取り組みが必要

特定技能外国人に長く働いてもらうためには、企業側のサポートなどの取り組みが欠かせません。日本の文化や仕事環境に慣れていないため、はじめのうちはサポートが必要になるでしょう。生活面でも何かしらのサポートが必要かもしれません。

また、待遇や仕事内容、サポートが良くないと感じたら、転職されてしまう可能性もあります。これは日本人でも同じですが、定着してもらうためにはそれなりの対応が必要となります。

手続きが煩雑

特定技能外国人を受け入れる企業にとってデメリットに感じる部分の一つとして、手続きが煩雑であるということが挙げられます。特定技能外国人を採用するためには、日本人の採用手続きよりも多くの手続きが必要です。

出入国在留管理庁へ必要な申請を行うことや、定期的な雇用状況の報告、在留資格の更新やみなし再入国許可の申請など、さまざまな手続きが必要です。

また、そもそも特定技能外国人の受け入れ条件を満たす必要がありますので、それらがデメリットに感じるケースもあるでしょう。

北海道の企業で特定技能外国人の受け入れを希望されている方は、フジアウトソーシングがサポートいたしますので、ご相談ください。

会社都合の解雇で受け入れ不可に

特定技能外国人の受け入れ企業の条件として、1年以内に会社都合の退職者がいる場合、要件を満たさず申請できないケースがあります。一部例外もありますが、基本的には会社都合の退職者を出してしまうと、特定技能外国人を受け入れることが出来なくなることもデメリットに感じるでしょう。

特定技能外国人制度の問題点について

特定技能外国人制度は、日本の人手不足解消に役立つ一方で、制度上の課題も多くあります。特定技能外国人制度の問題点として考えられる部分を見ていきましょう。

特定技能1号では家族帯同が禁止されている

特定技能2号では家族帯同が可能ですが、特定技能1号の期間中は単身での在留が基本となります。そのため、奥さんや子どもを日本に呼び寄せることができません。日本で長く働きたい外国人にとっては、大きなハードルとなることがあります。

外国人の多くは家族を大切にしているため、母国や家族から離れていることがストレスになるケースもありますので、その部分も課題になるケースがあるでしょう。

特定技能1号の期間は永住申請における就労資格を持った期間に含まれない

海外から日本に来る外国人の中には、日本での永住権を申請したい人もいるでしょう。しかし、特定技能1号で働いている期間は、永住権を申請する際の就労年数としてはカウントされません。このことが、永住権を取得したい外国人にとって課題と感じる方もいるでしょう。

日本での永住権取得には原則10年以上の在留歴が必要ですが、そのうち「就労資格を持って働いた期間」は5年以上必要です。しかし、特定技能1号の期間は、この「就労資格を持った期間」に含まれません。永住申請に必要な就労期間を最初からカウントし直す必要があることは、日本に長く住みたいと考えている外国人にとって大きなハードルとなります。

「転職しない」誓約書にサインを迫られることも

本来、特定技能外国人は転職が可能な制度ですが、一部の企業では「転職しない」といった趣旨の誓約書へのサインを求められるケースがあります。特定技能1号の在留資格を持つ外国人は、同じ分野内であれば転職が認められています。しかし、企業によっては、人材の流出を防ぐために「契約期間中は転職しない」などの条件を設け、誓約書への署名を求めるケースがあります。

これは、外国人労働者にとっては不当な制約となる可能性があり、転職を希望しても企業側の圧力で辞められないといった問題につながることもあります。

手続きが煩雑で難しい

特定技能外国人の受け入れは、手続きが煩雑で難しいという課題もあります。さまざまな手続きを踏み、制度を理解する必要もあるため、一般事業会社でこれまで経験が無い企業は、なかなかスムーズに進められないケースもあります。

このような手続きの難しさや煩雑さにハードルを感じてしまう企業も少なくないでしょう。このようなケースでは、フジアウトソーシングがワンストップでサポートしていますので、ぜひお気軽にご相談ください。

制度による制限がある

特定技能外国人の受け入れをする際に、さまざまな制限があることも事実です。たとえば、特定技能外国人を受け入れられる業種は限られており、特定の分野でしか受け入れることができません。そのため、キャリアの幅が制限されることと、受け入れ企業も制限されます。

また、企業側にとっては1年以内に会社都合の退職者を出してしまったりするなど、要件を満たさない場合には受け入れをすることができないため、このような制限によって利用できないケースもあります。

特定技能外国人の利用でよくある「トラブル」

特定技能外国人の受け入れは、多くの企業にとって人手不足解消の手段となります。しかし、実際に採用してみると、日本人従業員との連携や生活環境の違いによるトラブルが発生することがあります。

日本人従業員とうまく連携取れない

職場でのコミュニケーション不足により、日本人従業員とうまく連携できないケースがあります。

特定技能外国人は、日本語が話せるからと言って専門分野の言葉やルールなどを理解してないケースもあります。文化の違いや価値観の違いによって日本人スタッフとの連携がうまく取れなかったり、仕事の進め方が合わなかったりするケースもあるでしょう。

このような問題を防ぐためには、できるだけ分かりやすい指示を心がけたり、特定技能外国人向けの業務マニュアルを作成したりするなど、日本人スタッフとの円滑な連携をサポートする体制が必要です。日本語のサポートだけでなく、職場の文化や習慣についても理解を深めてもらうことが重要になります。

近隣住人からの苦情

特定技能外国人が生活する地域では、文化の違いによる生活習慣の違いから、近隣住民とのトラブルが発生することがあります。例えば、生活リズムが異なるため、深夜や早朝の騒音トラブルが発生することや、ゴミ出しのルールを十分に理解していないことで、ゴミの分別ミスや指定日以外のゴミ出しが問題となることもあります。

企業が特定技能外国人を受け入れる際は、日本の生活ルールを事前にしっかり伝えることが大切です。

突然の退職

特定技能外国人が、突然退職してしまうケースもあります。

特定技能外国人は、転職が可能な制度であるため、職場環境や待遇に不満を感じた場合、別の企業へ転職することができます。また、母国にいる家族の事情や健康上の問題から、急に帰国を決断するケースもあります。

企業側としては、職場環境を整え、親身なサポートを行うことで、突然の退職リスクを減らすことが必要です。定期的な面談などによって、困っていることがないかを確認したり、キャリアの相談に乗ったりするなど、従業員との信頼関係を築くことが離職防止につながります。

特定技能外国人を利用する際のリスクは?

特定技能外国人を採用することに企業側に少なからずリスクも伴います。最後にリスクを見ていきましょう。

転職リスクがある

特定技能外国人は、同じ業種内であれば転職が可能となるため、転職してしまうというリスクがあります。

技能実習生とは違い、特定技能外国人は自由に転職できるため、より良い条件の会社が見つかると移ってしまうことがあります。たとえば、給与や働く環境に不満がある場合や、他の会社から誘いを受けたときなど、突然退職してしまうこともあります。こうした状況を防ぐためには、企業側の工夫が必要です。

特定技能外国人が「この会社で働き続けたい」と思えるようにするには、適正な給与や労働環境を整え、職場の雰囲気をよくすることが大切です。

言語や文化の壁がある

特定技能外国人は、日本語能力試験(JLPT)に合格しているため、日本語能力はありますが、言葉が話せることとコミュニケーションが取れることは異なります。日本語能力があっても文化の違いや考え方の違いによりうまくコミュニケーション取れないケースもあるでしょう。

日本独自のビジネスマナーや職場のルールについて、少しずつ理解してもらう必要があり、それには企業側の努力も必要となります。業務ルールをわかりやすくしたり、マニュアルを多言語化したりするなど、企業側の努力を行いましょう。

義務的支援を行う必要がある

特定技能1号の外国人を雇う企業は、法律で決められたサポートを提供する必要があります。具体的には、住む場所の確保や生活のルールを教えるオリエンテーション、日本語学習のサポート、定期的な相談対応、転職のサポートなどを行うことが求められています。

特定技能外国人を受け入れる際には、しっかりと支援できる体制を整えることが大切です。登録支援機関を利用すれば、企業の負担を減らすことができますが、費用がかかる点も考慮する必要があります。どのように支援を行うか、事前にしっかり検討することが重要です。

まとめ:特定技能外国人の受け入れについての問題を解消しよう

ここまで、特定技能外国人の受け入れについての課題や問題、リスクなどをご紹介してきました。

特定技能外国人の受け入れは、人手不足の解消や即戦力の確保など多くのメリットがあります。一方で、転職リスクや手続きの煩雑さ、定着支援の必要性といった課題もあり、企業側の準備が重要です。

フジアウトソーシングは、特定技能外国人の雇用を円滑に進めるためのトータルサポートを行っています。ビザ申請や各種手続きの代行はもちろん、生活サポートや職場への定着支援まで、一貫して対応いたします。

北海道の企業の皆様、特定技能外国人の受け入れに関するお悩みは、ぜひフジアウトソーシングにお任せください。安心して働ける環境づくりをサポートし、貴社の人材確保と安定した雇用の実現をお手伝いいたします。